大木裕之(映像作家)主催のアートイベント




たまたま8_六日目(3月21日(日))


たまたま8 六日目、3連休の中日である上に、この日都内ではアートに留まらず様々な魅力的なイベントが開催されていましたが、おかげさまでこの8日間の中で最も多くのお客様にご来場いただきました。ありがとうございました。

この日は時間通り、18時半に始まりました。
最初は2009年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で、アジア千波万波部門に出品されていた、佐藤零郎さんの「長居青春夢酔歌」の上映です。大木さんが審査員をしていた縁で、今回上映していただくことになりました。上映開始前に佐藤さんから挨拶があり、編集で迷っていたときに大木さんの映像作品を見て影響を受ける部分もあった、とのエピソードもありました。

この映画は、大阪の長居公園でテント生活をする人々が、テントが強制撤去される中で芝居をする様子に加えて、釜ヶ崎での暴動の様子なども途中挿入されています。その時系列を追わない編集が特徴的ですが、テント生活者の中に入り込んで撮影をしている監督の、体当たりの撮影と、住民との距離の近さも印象的でした。

山形国際ドキュメンタリー映画祭2009 サイト内での作品紹介

続いて、OONO YUUKIさんの弾き語りライブです。OONOさんも開始前のトークで、高知で育ったので大木さんの映像を早くから知っていたというエピソードを語られました。

その後、8mm映画の上映へと移りました。山崎幹夫さんが前回のたまたまに引き続き、今回も8mm映写機材を持ち込んでくださり、会場の真ん中で映写を行ってくださいました。まずはその山崎さんの作品「夢のライオン」(1996/14min)から上映しました。子どもの頃、近所で飼われていたというライオンが近ごろ自分の夢の中に登場することから、母親にインタビューしたり、30年前のその場所を再訪したりするドキュメンタリーだが、いろいろな引用があり、本当にあったことを追うドキュメントなのか、それとも夢を映像化しているのか、見るものが困惑させられるようなユーモアたっぷりの作品でした。

続いて、前回に引き続きお越しくださった芹沢洋一郎さんの「間男」(1989/5min)の上映です。前回同様、上映前にご本人から作品制作に使った手法のご紹介がありました。

続いて、大木裕之作品「さきゆき」(1991/10min)が急遽上映されました。この映画は当時の練馬の一人暮らしの部屋の中と窓からの風景が写されていますが、ちょうど高知へ移住する直前の心のありようを本人が語っており、まさに「さきゆき」への不安や思いがそのまま描かれている作品です。

上映が終わったところで、毎日恒例のLala++大木裕之/逆水平チョップ、汗と吐息~3月の8日間が、満員の会場内で行われました。

続いて、元武蔵野市議会議員・活動家の向谷千鳥さんと、演劇批評家の鴻英良さんと大木裕之のトークとなりました。

その後、大木裕之のライフワークである「松前君の映画」シリーズで、2004年に16mmフィルム、サイレントで撮影された「松前君の旋律 Ⅱ」を、西村知巳演出で『陽気なルンビチライブバージョン』として上映パフォーマンスを行いました。西村さんが映像を編集し、オリジナル脚本を書き、上映にあわせて脚本をアフレコするというパフォーマンスで、参加者はmajimaji、アベクン、たたり、ズルムケ直樹、YUTAKA、SPI、音楽はm2cのDJと、カワシマの即興ピアノ演奏でした。

続いて、松井茂さんの詩の朗読と、石田尚志さんのライブイペインティングのコラボレーションは、このイベントの中でも一番の熱気を帯びたものとなりました。

石田さんから自己紹介があり、イメージフォーラム時代に大木さんの生徒だった話や、昨日8mm上映のあった芹沢洋一郎さんの作品に影響を受けた話などがありました。

ご自身の映像を投影されながら、その後投射された映像にかぶせるように壁にペイントを始めました

映像が終わり、壁に貼られた黒いシートに白いペンキでペイントされています。

かなり激しい動きで線を描いています。

スプレーが登場し、白いペンキを吹き付けています。

口に青いインクを含み、吹き付けています。

その後、黒いシートをカッターで切り裂きました。

口から青いインクをたらしながらシートを切り裂く石田さんは、前日柳下毅一郎さんが話されていた、土地の記憶を呼び起こす魔術の話で登場した切り裂きジャックを思い起こさせました。

松井茂さんは最初「古代天文台」(吉増剛造)を朗読されました。

ちょうど、この2日前の3月19日に量子詩600番が配信されたところで、ライブペインティング中の石田さんからは「量子詩600番、おめでとう!」との声がかけられていました。

途中からご自身がメールで配信している「量子詩」を携帯電話の画面を見ながらの朗読に変更されました。

クライマックスは、チョークで鳥のような絵が現れ、
あまりの盛り上がりにいてもたってもいられなくなった、大木裕之がペンキで一塗りし、終了しました。


会場内もお二人の熱気に感化され、興奮状態のまま、本日最後のパフォーマンス、アライコウスケ+ 中堀透 + OKTKによるヒップホップが始まりました。
アライさんは、たまたま期間中に数度会場を訪れ、壁に貼られたアートランドのチラシにスプレーでペイントしており、パフォーマンスで背後に流れた映像は、このイベントの様子を撮影したもので、そういった準備の土台がある上でのヒップホップアクションでしたが、会場内の観客の興奮がピークに達しており、このヒップホップアクションに対して、テープや、紙などのものが飛び交うリアクションがなされ、舞台上/外、参加者/観客の境界線がなくなり、混沌とした場になりました。

そして、そこにエーテルがムラの髪の毛を舞台真ん中でカットするというアクションが始まり、そこにアートランドのクミコスキーが厨房から飛び出し、カレーパウダーをムラの頭にかけるというリアクションが起こりました。

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